ビットコインは通貨を目指したが、実態は通貨にはなり得ない
ビットコインは、現金と同じ「通貨」です。ただ、ビットコインは現金と同じように使えるかと言えば、そういうものでもなく、現金よりも便利な点もあれば不便な点ある、通貨の一種ということになります。
本記事では、ビットコインがなぜ使い物にならないのかという理由を説明しようと思います。ただ、その前にまずビットコインが何者なのかについてご紹介します。
どうやって入手するのか?
ビットコインを手に入れるには、サーバーを使ってマイニングという活動を行なうか、取引所で日本円などの通貨と交換するかのどちらかになります。
マイニング: たくさんのサーバーを運用して新しいコインを受け取る活動です。ビットコインの送金処理には、多くの計算処理を必要とするため、これを維持するためには大量のサーバーを運用する必要があります。この処理を引き受けてくれたサーバーの運営者に対して、対価としてコインが支払われることになるのですが、この活動のことをマイニングと呼びます。2021年現在、マイニングは企業が参入して激しい競争をしており、個人で気軽にできるような状況でもありません。
取引所で購入: 普通に貨幣として使いたい人は、海外の貨幣を買うように、日本円と交換という方法を選ぶことになるでしょう。ただ、1ビットコインあたりの相場はかなり変動が激しく、貨幣として扱うには不安定であるという問題を抱えています。したがって、ビットコインで購入できるモノも限られているという状況です。
2021年3月現在では、ビットコインはマニアがトレードするためのもの、という見方をされることが多かったりします。ただ最近では、多くの企業や機関が、今後自身の提供するサービス用の通貨として扱う準備をはじめており、相場の動きも徐々に現実の世界の経済の動きを反映した状態へと変わっていくだろうと予想されています。
メリット: 国や企業の壁を越えて貨幣が扱える
円やドルのような現金は、どこかの国の機関が作って管理されています。また、楽天ポイント・Tポイントのようなポイント、クレジットカードやプリペイドカードのような決済手段も、特定の企業のサーバーで管理することになります。
しかしビットコインは、それを扱いたいと考えている企業や機関それぞれがサーバーを運営し、コインの情報を分散して管理できるような仕組みになっています。
国に依存しないメリット: 例えば、日本でアメリカにある商品を購入した場合、支払をするには円からドルに換金しなくてはいけないわけでして。その際には、手数料やらレートやら色んなことを気にしなくてはいけません。また、国の景気に問題が生じたり、政治が破綻するなど、国発行の貨幣価値に問題が生じたとしても、ビットコインにとっては関係のない問題だったりします。
企業に依存しないメリット: 支払を扱う特定の企業の独占力が高まると、支払の際の手数料を上げたり、支払をさせないような規制を加えるという強硬手段に苦しめられたりします。ビットコインだと、特定の企業がNGの場合は別の企業を選択肢として選ぶことができるのですから、決済サービス利用者のリスクが下がります。
ビットコインは実用性が低い、だから色んなコインが生まれた
ビットコインには、実用には耐え難い様々な課題があります。だからこそ、多くの技術者や研究者が、ビットコインの持つ技術的な課題を乗り越えて、なんとか使い物になるものにしてやろうと様々な試みが行われきました。
その中で、ビットコインはコアの技術部分を継承しつつ、別のブランド名を持つ亜種コインが作られるようになりました。ビットコインとその亜種のコインを総称して「暗号通貨」と呼ばれます。ビットコインと暗号通貨は頻繁に同じ意味として使われる傾向にありますが、その理由はビットコインが暗号通貨の元祖、つまり最初に作られた基礎のシステムだからということになります。
どんなコインがあるのか、解決した弱点別に分類して紹介してみましょう。
- 元祖: ビットコイン(BTC)
- 現金代わりとして使いたい: ビットコインキャッシュ(BCH)、ダッシュ(DASH)、ライトコイン(LTC)
- 取引処理用途として使いたい: イーサリアム (ETH)、イーサリアムクラシック(ETC)
- 匿名購入のために使いたい: モネロ(XMR)、ゼットキャッシュ(ZEC)
- 貨幣システムの仕組み自体を変えたい: ネム(XEM)、ヴァージ (XVG)
- 貨幣の相場変動を安定させたい: デザー(USDT)
- 特定の団体・業界用途に使いたい: トロン(TRX)、ウェーブズ (WAVES)
少なくともここに挙げた暗号通貨は、2021年3月現在、ネットで他の価値と交換することが可能です。