世界タイムズ

インターネットビジネスの真理を探る

仮想通貨(暗号通貨)の相場が安定しない理由は、中央銀行の役割を誰も担わないからである #テザー #ステーブルコイン

f:id:world-times:20210316024145p:plain
ビットコインなどの暗号通貨と聞くと、マニアの人たちのトレードという印象を抱くかと思います。

その意見は、そこまで間違っていません。2021年3月現在、暗号通貨で買えるものは結構限られおり、これにより相場も実経済活動と連動しているとは言い難い状況にあります。ただ、各企業や機関・アメリカの政府までもが、近い将来に利用するための模索・準備を始めているようですので、近いうちに経済活動と連動していくのではないか、という予想がされています。

ビットコインが貨幣として使えない理由として、送金処理スピード、匿名性など、様々なな意見も投げかけられています。相場が安定しないこともまた、ビットコインの実用性を大きく低下させている大きな理由になっています。

これを解決するための方法として、3つの方法が提案されています。

  1. 法定通貨担保型
  2. 暗号通貨担保型
  3. 無担保型

1. 法定通貨担保型とは?

1コインを得るための円やドルの相場の変動が激しいから困るということならば、固定にしてしまえばいい、という発想があります。それがこの「法定通貨担保型」という暗号通貨です。1コインを1円とする、とルール化してしまうことで、相場が変わることを防ごうというアイデアになります。

有名なものに「テザー(USDT)」が挙げられます。テザーの1USDTが、アメリカの1USドルにほぼ固定されるようにしています。2021年3月現在、テザーの1USDTは、日本円だと約108円ということで、米国ドルの相場108円/$とほとんど一致している状況です。

相場が固定になるので安心して使えるという反面、仮想通貨の「どこかの国・企業に依存しない」という暗号通貨の最大のメリットは完全に失われることになります。ドルと相場を揃えるために、テザーの貨幣の増減をLimited社による強い中央集権体制の下で進められています。ドルでええやん、という気持ちになりますよね。

日本では、日本銀行という国の中央銀行が、市場に出回る円の総量をコントロールすることで、円の価値をコントロールしています。突然、円の価値が極端に下がって人々の老後のための貯金がなくなってしまったり、あるいは円の価値が極端に上がって小売業やサービス業の人たちが貧乏になったりしないよう、絶妙なバランスを狙って調整しているわけですね。

結局の所、貨幣というのは常に魅力の高さは変わってしまうわけで、それをコントロールするほぼ唯一の方法は、貨幣の総量を増やしたり減らしたりすることなんですね。だから、誰かが貨幣の総量をコントロールしないと、貨幣の価値というのは安定しないというのが、2021年現在の最も実用的な考えだったりします。だから、その役割を担う機関を作って管理させようというのが、2021年現在の多くの国の主力のアイデアだったりします。

中央銀行が無いのがビットコインのメリットだったのですが、それゆえに貨幣の価値安定化という中央銀行のメリットが反映されない。ゆえに、相場が安定しないわけです。

2. 暗号通貨担保型とは?

ドルや円のような法定通貨に依存させているようでは暗号通貨の意味が無い!ということで、暗号通貨の中から相場を固定する対象を選んでしまおうという発想があります。色んな担保型の暗号通貨が出回っていますが、その固定先として現在最も選ばれているのは「イーサリアム」という暗号通貨です。

こちらも結局の所、貨幣の総量をみて調整するというアプローチになり、それをどこかの企業や組織が中央集権で実施することになります。国への依存は無くなったが、企業・組織への依存は消えないということで、結局はビットコイン誕生時に皆が感じたメリットは十分には残らないことになります。

3. 無担保型とは?

無担保型は、他の貨幣と紐付けて価値を固定させようという発想もなく、貨幣自ら市場の状況を把握し、総量をソフトウェアが自らコントロールすることで、相場が激しく変動しないように調整してしまおう、市場原理をソフトェアでコントロールしようという考え方です。国や企業に依存しない形を目指します。中央銀行としての役割を、アルゴリズム化しようという発想ですね。

世界の各国の中央銀行は、当然IT化も進んでいますし、自国の貨幣の状況を分析する仕組みも当然存在しているでしょう。しかし、もし貨幣を調整するための仕組みの全てがソフトウェアによって実現できているとしたら、中央銀行のあり方はもっと変わっているはずです。実態は変わっていない、人間の脳の能力が無いと、判断ができないという実情がまだ遺されているんですね。

こういう状況である中、果たして中央銀行と同様の貨幣の総量を調整する仕組みを、暗号通貨は完璧な形でアルゴリズムに落とし込んで、システム内で機能させることができるでしょうか。 これが完璧な形でできるアルゴリズムをどこかの研究者が発明でもしない限り、究極的に相場が安定した分散型の暗号通貨というのは存在し得ないということを意味します。

結論を言いますと、トレードゲームという特性としての暗号通貨は、もうしばらくの間は残り続けることになるだろうなと思います。