#スマートコントラクト #イーサリアム はどんなことができるのか?
イーサリアムは、暗号通貨の一種なのですが。通常の暗号通貨と違うところとしては、「スマートコントラクト」という契約をソフトウェア的に扱える機能が付いている点です。
人間が書いた契約書というのは、文章から曖昧さがどうしても消えないものだし、信頼というふわっとしたものを扱わなくちゃいけないしで、気にしなくてはいけないことで溢れているわけですね。では、契約書をプログラムとして書いてしまって、必要なタイミングになると支払等の処理を自動で実行してしまう、そうすることで曖昧さや信頼みたいな心配なく、契約が扱えるようにしたのが、スマートコントラクトという仕組みです。
ただ、今までの紙の「契約書」とは違って、プログラムというデジタルの「契約書」というのは、全てのユースケースをカバーするような、そんな便利なものでもありあません。ではどういうことに使えるのかというと、いまいちイメージがつきにくかったりしますよね。
アメリカにはAntonio Grasso(@antgrasso)というビジネス系インフルエンサーがいるのですが、彼がまとめた10個のユースケースがとても参考になるので、ここでご紹介します。
1. 貿易金融
スマートコントラクトは、「取引保全(エスクロー)」を提供することができます。エスクローというのは何かというと、売買を安全にするための仕組みです。
例えばモノの売買を行いたい2名の人間がいたとして、彼らが安全にモノとお金を交換できるようにするためには、どうすればいでしょうか?エスクローという手段は、買い手はお金を一時的に第三者に預けておき、売り手から受けとた商品の中身に問題ないことが確認されると同時に、売り手にお金を渡す、という仕組みによって解決を図るものです。
この第三者の役割を担えるのは、日本だとみずほ銀行や三菱UFJ銀行みたいな金融機関だけなのですが、スマートコントラクトはその代わりを代替することができます。
2. P2P保険
保険会社は、保険適用のポリシーをスマートコントラクト上にプログラムとして記入しておくことで、自動化することができます。また「P2P保険」というものを実現することができます。
P2P保険というのは、日本では「わりかん保険」という言い方をされることがある、最近輸入された考え方でして。いくつかの同じビジネスリスクを抱えた会社が集まって、全員でお金を出し合い、誰かのリスクが顕在化した場合は集めたお金の中から引き当てて補填する、保険の形です。
これまでの保険は、誰でもやっているような一般的なビジネスのリスクばかりを対象にしていたのですが、P2P保険はごく一部の人しかやっていないようなマニアックなビジネスリスクにも対応できるという特徴があります。
3. ロイヤリティ & リワード
ECサービスや小売業、旅行会社などのいくつかの産業では、スマートコントラクト駆動のロイヤリティ&リワード支払の仕組みを構築することができます。
ある商品が売れたときに、その商品の売上金額の◯%が、ECサービスだと出品者、小売業だと卸業者、旅行会社だと現地のエージェンシーにロイヤリティとして支払われる、そして販売者には◯%がリワードで支払われる、みたいな。
お金の流れをスマートコントラクト上に構築しておくことで、消費者の購入と支払をきっかけに、その後のお金の流れを一括で引き受けてくれる、そんなシステムを作ることができるということです。
4. デジタル著作権管理と著作権料の少額受け取り
音楽・漫画・イラスト等の作品には、著作権というのが生じます。作品を流通する権利、二次作品を作って販売する権利、公衆へ送信する権利、などなど。これらは、作者一人が保有する場合もあるし、別の企業や担当者が保有することもあります。
スマートコントラクト上でコンテンツを管理すると、コンテンツに対して権利に関わる何かしらの活動が起きたときに、その権利者にライセンスフィーが支払われるような、そういう仕組を構築することが可能です。
5. 不動産登記
デジタルに限らず、オフラインの資産に対する権利を扱うこともできます。不動産登記はその代表格でしょう。
土地や物件といった所有権は、利用する都度そこで発生するロイヤリティは契約で決められるものです。これも、スマートコントラクトで扱えば、効率的に管理することができるでしょう。
6. セキュリティ保険
日本ではあまり馴染みがない考え方なのですが、訴訟社会のアメリカでは、保険を活用することでビジネス上のリスクをコントロールしようという考え方があります。なにか起きた時の裁判費用や損害賠償費を、保険で上手くカバーすることで、訴訟を合理的に扱うのが米国らしいビジネスです。
ただ、その保険も誰でも入るような汎用的な保険もあれば、特定の産業でのみ必要とされる保険があります。インターネット系のビジネスの場合、代表的なのが通称「サーバー保険」と言われている、個人情報漏洩などのリスクに対応する「セキュリティ保険」です。
これも、スマートコントラクトが得意とする処理であるといえます。
7. シンジケートローン
シンジケートローンというのは、簡単に言うと、複数の金融機関から融資を受けるローン契約のことを言います。一つの金融機関でなく、複数の金融機関だからこそ、制約が厳しくなるものです。金融機関のうち1社が抜け駆けしていい思いをされてしまうと困るので、そうならないよう、貸付の際には他の金融機関からの権利の修正を受けるというものです。
この権利の修正を含め、諸々の契約全体はスマートコントラクトで扱うのが合理的、ということです。
8. イベント駆動保証
デバイスの故障のようなケースにスマートコントラクトが活用できます。
例えば、ネットに接続されたデバイスと、デバイスの情報をスマートコントラクトで扱うようにします。そして、デバイスの状態から、サービスの状態の問題を検知し、クレームを入れるといった対応が可能です。
9. ポストトレード
スマートコントラクト上で、ポストトレードの効率的なシステムを構築できます。
これは、証券会社で株を買った時の処理をどうするか、ということを言っています。上場企業の株は、売りたい人が値段を付けて売り、買いたい人は希望する金額のものがあれば買う、という形で取引されます。もし、売り手と買い手との間で、希望する金額で売買が成立した場合、その後「約定」という状態になります。
約定というのは、売買の約束はできているが、まだ株を受け取っていない状態です。通常は2営業日後に株の受け渡しがされ、その後は株保有者が得られる権利が付きます。こういうお金や権利の動きは、スマートコントラクトと抜群に相性が良いということです。